彼らは、100万人を、もっと幸せにする仕事をしている。カスタマーサポート業務に特化したAI「KARAKURI chatbot」を提供する、カラクリの仕事のことです。

いま、日本でコールセンター業務に就く人々は約100万人といわれる一大産業。それだけの人数が、メーカー、EC、金融、保険など、あらゆる業界のカスタマーと向き合っています。つまり、KARAKURI chatbotは、100万人のコールセンターの先に広がる、日本中の業界にインパクトを与えるサービスでもあるのです。

「カスタマーサポートの自動化をテクノロジーで実現する」というKARAKURI chatbotは、正答率95%を保証。その効果の一例を挙げると、通販会社のニッセンでは、オンライン通販への全問い合わせの15%をKARAKURI chatbotで解決でき、人的対応の大幅な削減につながっています。また、採用サービスを展開するエン・ジャパンでも、問い合わせ数7.5倍、発注率約3倍の実績を挙げています

SaaSベンチャーに特化して投資と支援をする「ALL STAR SAAS FUND」の前田ヒロは、数多あるAIチャットボット提供企業から、カラクリに投資を決めた理由を「ユニークなストーリー性と明確な戦略の違いに惹かれた」と振り返ります。

現在、社員34名、平均年齢は31.9歳と若く勢いのあるカラクリ。AIチャットボットを提供する企業は多くあるなかで、なぜ、KARAKURI chatbotは支持され続けているのでしょうか。そのポイントと同社のカルチャーについて、カラクリ代表取締役CEOの小田志門さんと前田ヒロが対談しました。

※なお、対談は新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮し、Zoomを利用したビデオ通話にて実施しました。図らずも、優れたSaaSサービスの恩恵を改めて感じる瞬間でした。

前職のカスタマーサポート実務がKARAKURIの基礎にある

前田:サービス開始は2018年の2月ですね。その頃には、すでにAIチャットボットは国内でも複数サービスインしていました。なぜ、改めて手掛けようと考えたのですか?


小田:たしかに有象無象のAIチャットボットが存在し、私は前職がサイバーパトロールのアウトソーシングサービスで有名なイー・ガーディアンだったのですが、そこでも導入サポートなどを体験していました。ただ、導入したものの回答精度が低い、運用がうまくいかないといった声を多く聞いていたんです。


前田:そのような状況になってしまう理由は?


小田:一番は提供されていたAIチャットボットの品質が低かったせいです。日本では2016年頃からブームが起こり、カスタマーサポートやエンターテイメント領域での活用が試行されていたのですが、当時は「まずは作ってリリースする」という事業者も多かった。


前田:なるほど。サービスを「作り上げる」段階で、一つの話題性をさらってしまったと。


小田:そこで、カラクリではリリース当初より重要なKPIである「正答率」を保証する形とし、他社との差別化を図りました。正答率とは、AIチャットボットに覚え込ませた回答内容をうまく提供できるかが鍵ですが、当然ながら覚え込ませていないものは答えられません。そこで、正答率の他にも「カバー率」と呼ぶ回答範囲の広さも大切になります。


このようなKPIの定義化もままならない事業者が、実際は多かったのです。そこで、カラクリはカスタマーサポート領域に特化してエンドユーザーの問題にフォーカスすることで、このKPIを達成するべく開発を続けてきました。この点は、私がイー・ガーディアンでカスタマーサポート実務を長年手掛けていた経験から、「AIで可能なこと/難しいこと」を把握したうえでの設計ができたことも、プラスに働いていると思います。


現在では、サービスを深めるなかで、カスタマーサポートの自動化に関する要望も数多く聞かれるようになりました。そこで、カラクリとしては「カスタマーサービスに関わるすべてのサービス自動化を提供していく」と舵を切り、事業を進めているところです。


前田:AIチャットボットに限らず、コスト削減の意味合いで用いられることが多いと思うのですが、それだけに留まらない価値を提供していく、というイメージですね。


小田:リリース当初はコストや人力といった「削減」をキーにアプローチしていったのですが、そこから「デジタルにおけるカスタマーサポート全般の実現」に範囲を広げたことで、LTVを伸ばしたり、解約率を減らしたりといった点でも価値を発揮しやすくなっています。売上や利益にも貢献できることを顧客にも想像していただけるようになりました。


経験があるから、AIで解消しやすい作業を見極められる

前田:今おっしゃったように、小田さんが元イー・ガーディアンであるバックグラウンドは、カラクリの大きな差別化要因になっていると思いますね。コールセンターやカスタマーサポートの知見の深さがあるからこそ、それに特化したAIチャットボットを実現できる。実際、どのような経験をされて、それが活かされていると感じますか?

小田:イー・ガーディアンは2003年に前身となる会社に入社し、2005年からカスタマーサポートを専属で担当してきました。2005年のインターネットといえば、ブログやSNSが盛り上がりはじめ、ECサイトを増えてきた頃。それらにもカスタマーサポートやコールセンターが求められてきました。

前田:ネットサービス専属のコールセンター部門のアウトソーサーとしての役割ですね。さながら、ネットに特化したトランスコスモスみたいな(笑)。

小田:まさにそうです。業務全体からアウトソーシングできる部分の切り分けを通じて、AIで解消しやすい作業の見極めなどもできるようになりました。クライアント企業のカスタマーサービスに向き合い、それが今にも続いているような感覚です。

前田:その一貫として、カスタマーサポートチームの運営やマネジメントもされてきたからこそ、従事されている方への共感や、課題意識の共有もしやすいのでしょうね。

「投資したくなるストーリー」が、カラクリにはあった

前田:ただ、僕としては初めてお会いした瞬間は、正直に言うと「またAIチャットボットか……」って、感じていたんです(笑)。

小田:そうなんですか。2018年2月の「ICCサミットFUKUOKA」の後くらいでしたよね。

前田:チャットボットのブームがあり、多くの人が手掛けたがっていましたから。でも、小田さんと話してみると印象が変わって、僕もカラクリなら関わってみたいと思うようになりました。大きな理由は小田さん自身の実体験やストーリーが背景にあるから。他の方たちは課題ありきというより、技術からソリューションを考えるような形が目立っていましたね。

カラクリは、カスタマーサポートやコールセンター業界の課題をしっかり見据えて、どんどん効率化していこう、変えていこうというフォーカスとミッションを持って動いていましたし、AIチャットボットもその手段の一つというという位置づけでした。そのあたりのユニークなストーリー性と明確な戦略の違いに惹かれたんです。

小田:前田さんにとって、ストーリー性は大切な要素なのですね。

前田:もちろんです!誰にも負けないポジショニングにつながりますし、お客さんもサービスに対してストーリーを求めていますから。数多くあるSaaSベンダーから「なぜ、この会社を選ぶべきか?なぜ、この会社を信用していいのか?」と考える際の参考にもなります。

また、どのような成り立ちの会社で、どういったミッションがあり、そこで働く人たちの姿や利用しているお客さんはどういうふうに映るか……といったポイントにおいても、ユニークなストーリーと優秀なチームは重要。それこそ、ストーリー性のない起業家に、僕は全く投資をしないくらいです。

小田:確かに一貫性のあるバックボーンがあると、サービスの進め方、難しい局面での決断、顧客との対話における深掘り感などに影響もしますから、企業の成長スピードを上げるためにも合ったほうがスムーズな気がします。

前田:そうですね。あとは採用をはじめ、働く人のモチベーション維持や、自分たちの存在意義を考える際にも、バックボーンやストーリーが支えてくれる面もあります。

カスタマーサクセスを超えた「CXデザイン」を全社員で実現する

前田:いまは採用も強化中ですよね。現在の社員は、技術周りの方が多いですか。

小田:データサイエンティストも含めると、技術陣が多くて半数以上になります。その次に多いのが世の中的にはカスタマーサクセスと呼ばれる役職です。僕らはカスタマーサクセスではなく「CXデザイン」と名付けています。

前田:自分たちなりに定義されていると。どういった経緯で?

小田:2019年10月までは、僕らもカスタマーサクセスチームとして動いていたんです。顧客の成長や成功を実現する概念であり、世の中にも部門として認知されてきている流れで、顧客の価値を最大化させていくためにもカスタマーサクセスを重要視しているというメッセージも発信していました。

ただ、どうしても各案件、各クライアント企業ごとの向き合い方になってしまったり、カスタマーサクセスチームだけが牽引しているようになっていたりと、組織内でもマインドの差が出てきたように感じられてきました。

カスタマーサクセスは全社で成し遂げるものです。開発も、コーポレートも、営業も、社員すべてがカスタマーサクセスにコミットして日々生きていく。その意識を統一したいという意味を込め、チーム名から「カスタマーサクセス」を取っ払い、CXデザインという名前をつけて全社目標へ切り替えたのです。

前田:やはり、分業をし続けて、顧客に対する価値の還元を一つの部署でしか見ていない状態はよくないんですよね。すべての部署が連携し、みんなでカスタマーサクセスの意識を持って当たることで、やっと顧客満足度やプロダクトの質が上がっていく。

実際に僕もカラクリへ追加投資したとき、顧客へユーザーヒアリングもしたのですが、中には「100点満点中120点!」と評価している人もいました。これも社員総出で連携して、カスタマーサクセスにコミットしているからこそ実現できることですし、カラクリの魅力の一つだと思いますね。

社員のバックグランドは様々。誠実な利他のマインドが共通点

前田:カラクリにはどのような経歴を持つ社員が多いですか?

小田:バックグラウンドはさまざまですね。データサイエンティストには社会人経験なしの新卒メンバーもいますが、ITやインターネット業界に近しいところでの経験者は確かに多いです。ただ、もともと地方の観光協会で働いていて、今は営業で活躍してくれているメンバーもいます。元イー・ガーディアンで株価を15倍に押し上げた立役者の広報も加わってくれました。

前田:15倍はすごい。それだけの人材が、なぜジョインを決めてくれたのでしょう。

小田:彼女曰く「カラクリには夢がある」と。もちろん、私も前職は同じですから、アプローチする業界や貢献できる職種の共通性はありますが、カスタマーサポートやコールセンター業界の「未来を作る」という観点から見ると、まだまだアナログで泥臭いところが多いからこそ、テクノロジーで変えていける可能性が大きいと感じたようです。業界の常識を変えていくならば、フットワークの軽いカラクリだからこそ実現できるはずだ、と。

前田:素晴らしいです。小田さんとしては、どのような方がカラクリのカルチャーに合いやすいと考えますか?


小田:共通点はいくつかありますね。まずは、仕事に対して真摯であること。それから、「顧客の成功=自らの喜び」と感じられる志向性をも持つ人も多いですね。僕としては、一緒に働きたい人のパーソナリティの部分で言うと、「学習マシーン」なタイプであること。未知に対しても不足している部分を見つけて、そこを埋めるための新しいナレッジの学習や習得が好きだといいですね。あとは、オーナーシップです。仕事の大小は関係なく、目の前の課題に集中し、自分ごととして全力で向き合えること。そんな人とは、ぜひ一緒に働きたいと思えます。

仕事も拡大していくので、よりその資質は嬉しいところです。現在はカスタマーサポートを通じたBtoCサービスを支えていますが、今後はBtoB領域の可能性もあります。あるいは、電話やメール以外にも、店頭接客のレベルを上げるためのPOCも進めています。加えて、言わば「BtoE」として社内だけで使うツールとしての需要も高まってきました。あらゆる疑問やトラブルを感じるシーンを発掘していくほど、仕事は広めていけると考えています。

リモートワークを推奨、Zoomの常時接続で情報はオープンに

前田:今日もZoomでの対談になったわけですが、カラクリではリモートワークの体制はどのように敷かれていますか。やはり、現在だと関心事のひとつかなと思いますが。

小田:もともと2020年1月からリモートワークを推奨をしていました。3月末ぐらいからは本格的にリモートワーク前提での動き方に変えてきています。最近始めた取り組みとしては、Zoomで常時接続できるルームを設けました。入室すれば、社員の誰かがそこにいて、キーボードを打つ音や雑談が聞こえてくる。それから、自分とは違うチームの会議に入室して、そこでのやり取りをBGMにしながら自分の仕事を進めたりもします。

実際のところ、リモートワークでの取り組みを進めると、リアルにいるよりも良い面も見えてきているくらいで、今後も進めていきたいです。

前田:常時接続ルームも良いですが、会議をオープンにしているのもポイントですね。情報のオープン化は意識的にされているんですか。

小田:そうですね。以前より、特に入社したての社員は半ば強制的に他チームの会議に含めるようにして業務理解を深めて、それを卒業できたら、好きなときに参加するようにします。Zoomが基本となると、場所を縛られずに、それがさらにやりやすくなりました。

営業と顧客とのミーティングにもZoomで入ってもらって全然OK。初回訪問であっても、コーポレートのメンバーや関係のないメンバーがひょっこり入ってもいい。一応、自己紹介だけはしてもらうルールにしています。今もこの対談を、何人か見ていますね(笑)。

前田:今日のこの環境が、カラクリにとって自然なことだとわかって面白いです(笑)。

このように会議に入りやすいのは、CXデザインを志向するカラクリにとっては、全体設計のなかで顧客理解と業務理解が進む良い取り組みといえそうですね。

100万人規模のコールセンター業界、デジタルシフトを進めたい

小田:ただ、僕らがご一緒するコールセンター業界は、それほどリモートワークにも移行できていないようです。過剰なぐらいに情報管理が徹底されていて、職場に自分の財布やスマホを持ち込めないところもあります。それには良い面も確かにあれど、リモートワークが前提の世の中になってきたときに、どうやって僕らはその環境を変えていけるか、サポートできるかを考え、今は実行しつつあります。リモートコールセンターの取り組みを、よりスピーディーに行動に移していこうと。

前田:コールセンター業界の就業者は100万人ほどと言われ、決して少なくない数です。カラクリの仕事は、その100万人の仕事をさらに効率良くして、もっと幸せを届けることともいえます。しかも、この100万人がECや金融、保険業界をはじめ、あらゆる職種のカスタマーサポートを担っているわけですから、実はそれらの業界にもインパクトを与えることになる。100万人が幸せいっぱいで働ける環境を作るのも重要なミッションになりますね。

小田:おっしゃるとおりです。デジタルシフトという観点で考えると、エンドユーザーとしての個人は誰もがスマホを1人1台持っている状態であり、マーケティング総費用もデジタル広告がテレビ広告を抜いたり、マーケティングオートメーションのツールが揃ってきたりと、かなり実現されてきている。ところが、カスタマーサポートだけはデジタルシフトから取り残されている状況です。そこを本気でテクノロジーによって変えていく会社はないんですよね。なので、カラクリが頑張らねばと意気込んでいます。

前田:実際に進んでいる事例はありますか?

小田:提供を始めたリモートカスタマーサポートのベータ版として、このタイミングで有人チャット形式でサポートできるツールを無償提供することを決めました。すぐにお問い合わせをいただき導入したクライアントからは、「これで従業員が自宅から仕事をできるようになりました。切羽詰まっていたので、ありがたいです」とコメントをいただき、嬉しかったです。

前田:カスタマーサポートやコールセンター業界は多くのビジネスを支えていることは、言い換えれば現在のインターネットの流通や社会にとって必須のインフラだともいえるはずです。労働人口も減り、採用を続けるのが難しくなるほどに、このインターネット社会のインフラを助けるカラクリの仕事は需要も高まってくるでしょう。

小田:まさにそのとおりで、デジタルシフトされていないカスタマーサポートサービスの領域をしっかりと支えることで、100万人の働く人の先には、1億人のエンドユーザーがいます。そこには自分たちを含めた日本の全員が含まれます。僕らのサービス品質がいかに上がるかによって、世の中のサービスレベルまで変わってくると信じています。

前田:ただ、社員が増えれば増えるほど矛盾は起きやすいですし、調整すべきところも増えていく。来年の今頃、社員が10倍になったとき、今のスタイルを維持するのが難しいこともあるでしょう。その時々でちゃんと変化に適応していき、矛盾を感じるごとに修正していってほしいです。「変化に適応し続けること」が投資家であり、パートナーでもある僕からのお願いですかね。

小田:そのキーワードは、特にこの時代には、非常に重要です。

前田:カラクリには引き続き、カスタマーファーストで動きながら、「顧客が成功すれば社員も成功する、社員が成功すれば顧客も成功する」という矛盾なきSaaSビジネスモデルを突き進んでもらえたらと思っています。今日は、ありがとうございました。

(編集=ALL STAR SAAS FUND 文=長谷川賢人 ※本対談は2020年4月2日にビデオ会議にて実施しました)

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